ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 県民環境部 防災局 > 原子力安全対策推進監 > 伊方発電所3号機の再稼動に関する知事共同取材(8月12日)の要旨について

本文

伊方発電所3号機の再稼動に関する知事共同取材(8月12日)の要旨について

ページID:0011316 更新日:2016年8月12日 印刷ページ表示

日時:平成28年8月12日(金曜日)10時30分~10時54分

場所:知事会議室

 

(NHK(幹事社))

 本日午前9時頃、5年4カ月ぶりに伊方原発3号機が再稼働したが、知事の所感はどうか。

 

(知事)

 5年4カ月ぶりというお話がありましたけれども、福島の原発以降、原発は絶対安全なものではないという前提に立って、最新の知見に基づく新しい安全基準が国の方でも策定をされました。そして、それに適合できるのかどうかというのは、この5年数カ月の間に厳しくチェックをされてきた経緯がございます。

 それだけではなく、他の地域とは異なり、愛媛県では独自に電力事業者に対して、国の基準を上回る安全対策の実施を求め続けてまいりました。これにつきましても、もし県の要請に対し、国はそこまで示していないからできないなどということであったならば、同意することはできないというような姿勢で臨んでまいりましたけれども、愛媛県から示した独自のアディショナルな追加対策につきましても、誠心誠意取り組んできたことは、公表してきたとおりでございます。

 こうした積み重ねを受けて、国の方に再稼働ありきでは困ると、今の現段階で考えられる最高の安全基準、それをクリアしているかどうかを徹底的にチェックした上での話であるということを申し続けてまいりましたけれども、そうした対策、そしてまたチェックを経て、今日の稼働に至ったんだろうと思っております。

 これはゴールでは全くないわけで、今後とも新しい知見、あるいは大きな問題が生じたときには、県の立場から言えば、再チェックあるいは追加対策、こうしたことを求め続けていく必要があると思っておりますので、今後とも同様に緊張感を持って向き合っていきたいと思っております。

 

(NHK(幹事社))

 原発が再稼働した中、あらためて事故が起きたときの対応について、どう考えているか。

 

(知事)

 まず、愛媛県の場合は、とにかく避難に至るような事故は絶対に起こさせないんだという見地で、国が求める以上の対策を打ってきたつもりであります。具体的には、伊方の場合、津波の心配はありませんから、むしろ福島と同様なリスクを抱えているのは揺れ対策であるというふうなことに徹底して、国が求める650ガルではなく、1000ガル対応の追加工事の実施を求めてきたところであります。

 そして、もう一つのポイントは、そもそも福島の教訓でありますが、非常用の電気が常に確保され、最悪は原発を駄目にしていいという判断を下せば、海水をかけて冷却することができる。電気を確保し、最悪、海水で冷却させる。この機能さえ確保できていれば、暴走は食い止められます。問題は、その電源ということになりますので、国は移動式の発電機を設置するような基準を作りましたけれども、当然それはクリアしているんですが、愛媛県の場合は他の地域と違ってアディショナルな、さらなる電源ルートの確保を要請いたしました。このことにつきましては、ご案内のとおり亀浦変電所から1号機、2号機、3号機に新たな耐震化工事を施した新たな電源ルート、これは国は全く求めていないものでありますけども、追加で設置を要請し、この工事は完了しております。いわば、二重三重の電源さえ確保しておけば、冷却はできると、暴走は止められるという観点でこうしたことを徹底的に追求してきたところでございます。

 こうしたことによって、暴走は食い止められるめどが、今の段階で立っているとは思いますけれども、それでも最悪の場合を想定して避難訓練というのは同時並行して実施してまいりました。避難訓練は、何度も申し上げてまいりましたが、完璧なもの、最終ゴールというのはないというふうに思っております。都度都度、想定した訓練、なぜ完璧なものがないかと言えば、全員参加の訓練がそもそもできないからでありますから、当然のことながらシミュレーションを行ったり、部分的な訓練で想定を膨らませたりですね、いろんなケースを考えながら積み重ねていくものだと思っておりますので、今後とも、その姿勢を変えることなく、徹底的に避難訓練の充実というのは、常に追い求め続けていきたいと考えております。

 

(愛媛新聞)

 今後、大きな問題があった場合は、安全協定上は停止を求めることもできると思うが、そういう事態について考えているか。

 

(知事)

 どういうケースかは別にして、大変な問題が起こった場合、当然そういったことは県知事としては、行う覚悟はいつも持っているつもりです。

 

(愛媛朝日テレビ)

 先ほど訓練は積み重ねていくという話だったが、住民の方からは、複合災害が起こった場合に、きちんと避難所まで、港までたどり着けるのかとか、港をちゃんと使って船で避難できるのかという不安を、実際に口にされている方がいるが、そういった住民の不安に対し、今後どのように取り組んでいくのか。

 

(知事)

 これもですね、全員が参加できるというわけではないので、訓練というのは、地区の方々を巻き込んで、できるだけ多くの方に参加をいただく中で積み重ねていきますけれども、全員参加、仕事の関係であるとか、いろんな事情があろうかと思いますので、そういった方々は経験できないので、やっぱり不安というのは拭い去ることはできないのかもしれません。

 それに応えるためにどういう訓練をやるのか、そして訓練の結果がどうであったのか、その結果としてどういうことを改善していくのか、そういう情報を常に発信し続けるということが不安の解消につながるのではなかろうかと思っています。

 訓練も、毎回形式的にやる訓練ではなくて、例えば、昨年であるならば、新しく耐震補強を施した三崎港に海上自衛隊の船がしっかりと接岸できるのかどうか、そしてそれらを使って、大分までのルートをどうやって行くのかというのを実際に運行してみると。

 そして今年の訓練は、集落からその港までの動線をどう確保するのか、確保というか訓練ですね、実際動いてみると。いろんな訓練を積み重ねていく予定にしてますので、そうしたことの趣旨、意義というものを、常に住民の皆さんに情報発信し続けることが、不安の払拭(ふっしょく)につながるのではなかろうかと思っています。

 

(愛媛朝日テレビ)

 避難計画では、集会所に一旦集まって、バスに乗って逃げるという想定になっていると思うが、ハザードマップを見てみると、集会所自体が、10メートル級の津波浸水予想区域になっている場所もあるが、そうした実態については、どう考えているのか。

 

(知事)

 それは逆に前提をお聞きしたいんですけれども、伊方前面海域での地震を想定したご質問なのか、それとも南海トラフの地震を想定したご質問なのか、どちらでしょうか。それによって全然変わってくるので。

 

(愛媛朝日テレビ)

 津波浸水なので、南海トラフ地震を想定して。

 

(知事)

 まず南海トラフの地震の場合はですね、震源地が遠く離れております。伊方前面海域にプレートがあるわけでもないので、この場合の、南海トラフ地震の場合の津波到達高、伊方は2.45メートルになります。ご案内のとおり、伊方は10メートルの所に設置しておりますから、伊方原発そのものに、津波で大きな被害が襲ってくる可能性はないということになります。

 もう一つは揺れでありますけれども、こちらも南海トラフで最大級の揺れが起こったときの、伊方は遠く離れてますから、こちらでの予想計測ガル数は、181ガルになります。ご案内のとおり伊方は650ガル対応で造られています。追加工事で1000ガル対応ということにもなりますので、南海トラフの場合、伊方が壊れることはないということになります。

 伊方のリスクというのは、前面海域での揺れによる破損ということは、当然リスクとして考えておく必要があるんですが、そういう観点で、今のご質問、南海トラフを前提にされていますから、津波での避難、原発事故ではなく、津波での避難ということになろうかと思います。

 この場合ですね、ご指摘のとおり、集会所には10メートル浸水区域も含まれているということなんですが、実は3年前にご記憶にあると思うんですけれども、集落ごとに、市町の要請に応じて、宇和海沿岸の350カ所ぐらいだったと思いますけれども、高台への緊急の避難路の整備を行いました。実は、高台への避難こそが、命を守るという意味での最初の避難の行動になります。その後に、津波が引いて落ち着いた後に、集会所へということになりますので、集会所そのものが壊れてしまった場合は、とりあえず第一段階、高台ですから、そこからどうするかというのは、その時点でまた移送手段を考えるということになろうかと思っています。

 

(愛媛新聞)

 再稼働のメリットについて、経済界や消費者からは、再稼働によって、電気料金の値下げを期待する声がある一方、四電は訴訟リスクなどもありすぐには難しいと言っているが、そうした状況についての所感はどうか。

 

(知事)

 これはどういう形で電力事業者のバランスシートに、そういった稼働の数字が表れてくるとか、今の段階で私も分かりません。しかし、しかるべき余裕というか、収益が上がったのならば、当然還元されるべきだというふうに思っております。

 

(テレビ愛媛)

 今の避難計画、避難訓練では、例えば道路が寸断して使えなくなったとか、そういったことがあまり想定されていないように感じるが、問題ないのか。

 

(知事)

 いや、そんなことはなくてですね、前回の訓練でも複合災害という観点での訓練を行ってますので。もちろん、全部を一気にというわけにはいかないんですけれども、複合が起こった場合はどうすればいいのかっていうのは、啓開訓練と言っていますけれども、建設業協会等、業者にそういったことを想定した訓練の必要性を伝えて、また、そういった訓練時に実際に行っていただくというふうなことをやっておりますので、これもまた今後とも、繰り返していきたいと思っています。

 

(時事通信)

 電力事業者である四国電力に対し、再稼働を受けて要望すること、求めることというのはあるか。

 

(知事)

 はい。そうですね、まず私どもから要求した独自の要請でまだ完了していないものもあります。それは例えば、作業所の確保、これは場所は決まっております。何かあったときにそこで一気に作業をする空間がもう少し充実していいんじゃないかということで、昨年要請しましたけれども、こういった残っている課題についてしっかりと、仕上げていただくということが一点。

 そして、何よりも重要なことは、これも他の地域とは違う「えひめ方式」の報告・連絡体制、すなわち敷地内で何かが起こったときには、身内で情報共有して、身内で公表するのではなく、速やかに愛媛県に情報伝達し、愛媛県がプレス発表するという、これは他の地域では全く行っていない愛媛県独自の連絡体制、これこそが隠し事をさせない最大の仕掛けだと思っています。これはもう絶対に守っていただかなければならない。これは隠し事をさせない、何かあったら公表する、その姿勢を貫くためにも、この方式には徹底的に今後とも愛媛県としてはこだわっていきたいと思っていますので、それを順守することを強く求めたいと考えています。

 

(NHK)

 3号機が本日再稼働したが、以前から2号機についても、できれば活用する方向でというふうな発言も出ていると思うが、あらためて2号機の対応についてはどう考えているか。

 

(知事)

 これはまだ全然分かりません。その時点でまず事業者がどうするのかを決めて、そして規制委員会が判断をするというルールになっていますから、その時点が、まだすぐに来るわけではないし、その方針が示されたときに、県がどう考えるかということを公表することになろうかと思います。今の時点では、考えてないです。

 

(共同通信)

 県民の方に向けて、あらためて再稼働を受けてのメッセージ、コメントを。

 

(知事)

 そうですね。日本の国は資源・エネルギーが自力で調達できない。エネルギー面においては非常に弱い側面を持っています。その中でエネルギーの確保については、多様化が必然になってきているわけなんですけれども、ただそういう中で、原発の問題が浮上してきています。

 そこで、これは絶対に安全なものではない以上、ない方が理想であるということは、私もそういう意見を持っているんですけれども、日本全体の経済的な環境、国民生活、そういったものを考えると、今この段階で原発を全部なくすというのは現実的ではないと、その理想に近づくためには、原発に代わりうる、出力、安定供給、コストの3条件をもった代替エネルギーの登場が必然でありますので、それを国に要求するというようなですね、国民の声というのも必要になってくると思います。

 そういうふうな中で、それが見つかるまでは、その時点、時点での最新の知見に基づく安全対策を施して、向き合っていかざるを得ないというのが今の現実だと思いますので、我々もその姿勢で向き合っていくことをお約束していきたいと思っています。

 

(共同通信)

 安全面については、県民の方にどう説明するのか。

 

(知事)

 そうですね、これは常にオープンにしていますけれども、とにかく、よく言われる「福島と同じことが起こる」というふうなことはないということは、はっきり申し上げておきたいと思います。

 それは津波のリスクがないということですね、伊方の場合は。ただ、揺れのリスクは同じ状況、可能性を持っておりますから、そこについて徹底的にこだわって他の地域とは異なる愛媛県独自の要請をしてきたということを、まずお伝えしておきたいというふうに思います。

 そしてもう一つは、さっきの繰り返しになりますけれども、原発の暴走を止めるのは、冷やすという行為、これが全てであります。水、海水をかけることができれば暴走を止められる。そのために必要なのは電源。この電源についても、国を上回る基準で、伊方は他の地域とは違ってアディショナルな対応を取ってきたということも、しっかりとお伝えしておきたいというふうに思います。

 

(愛媛新聞)

 今日、再稼働したことで、県民が受けるメリットについては、どう考えているか。

 

(知事)

 メリットというかですね、さっき申し上げた、日本のエネルギー事情からくるいろんな問題点が浮上してきましたので、そういった意味においては、例えば火力発電所のフル操業に伴うリスク、特に阿南の火力発電所というのは休止してたわけですよね。しかもその休止していた火力発電所を急きょ、突貫工事で動かして、かつ、定期点検も延長しながら、今フル回転しているんですが、ここに何かあったら、一気にですね、電力供給に支障を来す状況が生まれますので、まずそのリスクからは解放されるというふうな状況になろうかと思ってます。

 それともう一つはやはり、その状況が続きますと、当然のことながら民間事業者ですから、電気料金がどんどん上昇していく。現実にそういう環境が生まれていましたので、その上昇ベクトルっていうのは少し弱まるのかなと。

 これが放置されると、県民生活そのものは多少我慢すれば乗り越えられる面はあると思うんですけれども、企業活動はそうはいかない。工場等においての電気料金というのは、これは国際競争力の面においても非常に重要なポイントになってきてましたので、これが上昇が止まらないとするならば、当然のことながら、企業の工場移転という、愛媛県にとってはちょっと考えたくもない事態が発生する恐れがありました。

 そうなってくると、雇用が失われる、税収が落ち込んでいく、そしてその税収の落ち込みにより、福祉や教育への対策が不十分になっていくという、本当の意味での悪循環に入る可能性が生まれますので、その危険性というのは、当面回避されるだろうというふうに思ってます。

 

(愛媛新聞)

 つまり事故に対する不安といったデメリットより、メリットの方が今回上回っているということか。

 

(知事)

 それは何とも言えないですね。人それぞれ見る角度が違うと思いますから、こういうメリットもある、こういうデメリットもある、という両方の面をお示しする。その中で、県民の皆さん、お一人お一人が、考えていただいたらいいんじゃないかなと思っています。

 

(共同通信)

 一定の安全については、確保されたと考えているのか。

 

(知事)

 はい。5年前の伊方原発の風景をご存じかどうか分からないんですが、全く別物の施設のように安全対策が施されたことによって、風景が変わっています。今、考えられる最新の知見プラス、愛媛県独自の要請というものの結果が、その伊方原発敷地内の風景の変化につながっていると思いますので、それはしっかりとした、今考えられる最高の安全対策が実施されているというふうに思っています。

 

(愛媛新聞)

 隠し事をしないということが守られない場合には、四電に対して停止を求めるということもあり得るのか。

 

(知事)

 その事態の内容によりますね。これは前1回ちょっと遅れたことがあったんですけれども、その時申し上げたのが、ここが生命線ですと。これが破られた場合は、信頼関係は木っ端みじんになるんですよということを、トップの方に、公の場で、みなさんもいらっしゃる前で伝えましたので、それはしっかりと重く受け止めていただいていると信じております。それが受け止められていないとするならば、会社としての信頼は一気になくなるというふうに思います。

 

(愛媛新聞)

 最後に、プルサーマルで唯一の運転になるが、あらためての所感は。

 

(知事)

 そうですね。プルサーマルについても、これは別に初めてのことではなくて、過去原発が5年以上前に動いていた時に、プルサーマルの運転をしていた実績がございます。それを上回る個体数を挿入することは、それは愛媛県としては認められない。安全運転の実績のある個体数という前提で、今回、認めて同意しておりますので、その点は、今回実績があるということでご理解いただきたいと思います。


AIが質問にお答えします<外部リンク>