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インフルエンザ情報(新型インフルエンザ第1波の疫学的特徴)

ページID:0006708 更新日:2021年12月1日 印刷ページ表示

新型インフルエンザA/H1N1第1波(2009年第30週から2010年第13週)の疫学的特徴

感染症発生動向調査によるインフルエンザ流行状況

流行の概況

季節性インフルエンザは、例年12月頃から流行が始まり、翌年の1月から3月に患者数が増加、4月から5月に減少する動向を示します。

2009年は、新型インフルエンザの流行のため、例年の傾向とは異なり、定点当たり患者報告数は、2009年第31週(7月27日から8月2日)から増加傾向が認められ、第34週(8月17日から8月23日)には流行開始の目安となる定点当たり患者報告数1.0人を超えました。その後、一旦増加幅に鈍化が見られましたが、第43週(10月19日から10月25日)には急増し、定点当たり10.0人を超え、第48週(11月23日から11月29日)に定点当たり52.9人と流行のピークを迎えました。その後徐々に減少し、2010年第7週(2月15日から2月21日)には定点当たり1.0人を下回り、非流行時の発生レベルとなり、流行は沈静化しました。

図-愛媛県の週別インフルエンザ患者発生状況(過去5シーズンとの比較)

保健所別の動向は、流行の初期(第31週から42週)は主に南予地域で散発的な発生が継続し、第43週に西条地区で急増し、その他の地区でも顕著な増加傾向が認められました。西条地区では第44週に、その他の地区では48週から49週にかけて流行のピークを迎えました。

ピーク時の定点当たり患者報告数は、宇和島地区で第48週に定点当たり 70.0人となったのが最も高く、次いで松山地区 63.9人(第48週)、今治地区 58.5人(第48週)、西条地区 58.4人(第44週)、松山市 56.7人(第48週)、八幡浜地区 48.3人(第49週)、四国中央地区 39.2人(第49週)でした。

図-保健所別インフルエンザ患者発生状況

第1波における、定点医療機関当たりの累積患者報告数は、県全体で 412人/シーズンで、季節性インフルエンザによる過去5シーズンの平均(240人/シーズン)と比較し、1.7倍となりました。

また、保健所別では、宇和島地区で2.2倍となったのが最も高く、次いで西条地区、松山地区、八幡浜地区が1.8倍、四国中央地区および松山市が1.6倍、今治地区が1.5倍でした。

 

定点当たり累積報告数のシーズンごとの推移

 

四国中央

西条

今治

松山市

松山

八幡浜

宇和島

愛媛県

2004/2005シーズン

246

365

381

264

277

225

252

292

2005/2006シーズン

249

230

250

349

288

341

238

288

2006/2007シーズン

107

125

142

158

144

103

156

138

2007/2008シーズン

164

145

290

194

142

195

129

183

2008/2009シーズン

294

336

354

311

274

238

249

300

5シーズン平均(B)

212

240

283

255

225

220

205

240

第1波(A)

331

431

429

416

399

396

443

412

第1波と5シーズンの平均との比(A/B)

1.6

1.8

1.5

1.6

1.8

1.8

2.2

1.7

第1波は、2009年第30週から2010年第13週まで、2008/2009シーズンは、2008年第40週から2009年29週まで、その他のシーズンは、毎年第40週(10月頃)から翌年の39週(9月末頃)までを示します。

保健所は現在の名称とし、統廃合前の旧保健所管轄地区データは現在の保健所管轄地区に含めました。

年齢区分別患者報告数

第1波における年齢区分別にみた定点当たり患者報告数の推移は、シーズン初期(30週から45週)には19歳以下の年齢層が急速に増加しました。続いて流行ピーク時(46週から49週)には未成年者のうち、9歳以下の年齢層が急増しました。

図-年齢区分別に見た定点当たり患者報告数の推移

図-年齢区分別に見た定点当たり累積患者報告数の推移

第1波における年齢区分別にみた定点当たり患者報告数の割合は、流行初期(42週から45週)には、10歳から14歳が35.2%と最も多く、次いで5歳から9歳が32.1%、15歳から19歳が12.6%、4歳以下が11.1%で、未成年者が全体の91.1%を占めていました。続いて、流行ピーク時(46週から49週)には、5歳から9歳が40.3%、4歳以下が17.2%であり、9歳以下の年齢層の割合は増加しましたが、10歳から14歳は27.4%、15歳から19歳は6.8%となり、10歳代の割合は減少しています。また、流行後期以降(50週以降)には、引き続き、4歳以下の割合が25.9%と増加しているのに加え、20歳以上の年齢層の割合(17.6%)が増加しています。

図-年齢区分別割合の推移(2009年30週から2010年13週)

第1波における年齢区分別の定点当たり累積患者報告数は、過去の季節性インフルエンザ5シーズンの平均と比較し、10歳代で2.4倍から3.8倍とかなり高く、9歳以下と20歳代、30歳代の各年齢層では1.3倍から1.9倍とやや高めですが、60歳以上では0.6倍と低くなりました。

図-年齢区分別割合の推移:新型インフルエンザ(第1波)と季節性インフルエンザ(過去5シーズン)との比較

各年齢区分における定点当たり患者報告数の比較

 

0-4歳

5-9歳

10-14歳

15-19歳

20歳代

30歳代

40歳代

50歳代

60歳以上

2004/2005シーズン

83.4

106.3

30.7

5.2

12.0

20.3

12.3

10.3

11.2

2005/2006シーズン

74.4

103.4

55.1

11.4

9.0

13.5

8.2

5.7

7.0

2006/2007シーズン

35.6

44.6

29.2

5.0

5.4

6.7

4.6

3.2

3.8

2007/2008シーズン

44.4

74.5

31.3

5.2

7.0

9.5

5.8

2.5

2.6

2008/2009シーズン

65.8

118.9

64.8

11.2

9.5

13.8

7.5

4.0

4.1

過去5シーズンの平均(B)

60.7

89.5

42.2

7.6

8.5

12.8

7.7

5.1

5.7

第1波(A)

80.8

150.5

101.4

28.7

16.2

16.1

9.4

5.5

3.4

第1波と過去5シーズンとの比(A/B)

1.3

1.7

2.4

3.8

1.9

1.3

1.2

1.1

0.6

第1波は、2009年第30週から2010年第13週まで、2008/2009シーズンは、2008年第40週から2009年29週まで、その他のシーズンは、毎年第40週(10月頃)から翌年の39週(9月末頃)までを示します。

ウイルス検出状況

感染症発生動向調査において、病原体定点から衛生環境研究所に搬入された検体についてウイルス検査を実施しました。

2009年第30週から2010年第13週の期間中、病原体定点からのインフルエンザ様疾患患者検体から検出されたウイルスはすべて新型インフルエンザウイルスで、従来の季節性インフルエンザウイルスは検出されませんでした。このことから、今回のインフルエンザ患者のほとんどが新型インフルエンザによるものと推定されます。

図-インフルエンザウイルス検出状況(2009年30週から2010年13週)

集団かぜ発生状況

2009年第30週から2010年第13週の期間中、学校等における集団かぜ(休校、休園、学年閉鎖、学級閉鎖の臨時休業措置)の報告数は、690施設のべ3040件(休校/園161件、学年閉鎖248件、学級閉鎖2631件)ありました。施設数、措置数ともに例年に比べ大幅に増加しましたが、これは新型インフルエンザ対策により、学級閉鎖等の基準が例年と異なったためと考えられます。

学校等の臨時休業は、第34週(8月17日から8月23日)にはじめての報告があり、第43週(10月19日から10月25日)に急増し、第48週(11月23日から11月29日)にはピークを迎え、その後減少に転じました。この動向は、感染症発生動向調査による定点医療機関からのインフルエンザ患者報告数の動向と同様な傾向を示しました。

図-学校等の臨時休業の状況(2009年30週から2010年13週)

入院サーベイランスによる新型インフルエンザ入院患者の概況

2009年7月24日以降、新型インフルエンザによる入院患者数及び臨床症状等を調査しました(2010年3月29日以降は、重症患者、死亡患者を対象とする「重症サーベイランス」に移行しました)。

2009年7月24日から2010年4月4日までに、県内においてインフルエンザ様疾患で入院し、保健所に報告があった患者は、82人でした。

年齢区分別に見た入院患者数は、9歳以下が35人(43%)、10歳代が13人(16%)、20歳から59歳が19人(23%)、60歳以上が15人(18%)で、未成年者が全入院患者の59%を占めました。

年齢区分別に見た基礎疾患を有した患者の割合は、60歳以上では87%、9歳以下では46%であり、10歳から59歳の28%に比べ高い傾向を示しました。

愛媛県における新型インフルエンザの感染が確認された死亡者は、60歳以上の2人であり、死亡率(人口10万人対)0.14人は、日本の新型インフルエンザによる死亡率(人口10万人対)0.15人とほぼ同水準でした。

図-年齢区分別に見た入院患者数、重症化患者数、死亡者数(入院サーベイランス)

図-年齢区分別に見た入院患者数、基礎疾患を有する患者数(入院サーベイランス)

基礎疾患を有する入院患者は38人で、全入院患者の46.3%を占めました。基礎疾患としては、多い順に、慢性呼吸器疾患(ぜん息含む)24人、神経疾患・神経筋疾患6人、慢性心疾患4人などでした。

基礎疾患を有する入院患者の年齢階級別内訳(計38人、基礎疾患に重複あり)

年齢

0-4歳

5-9歳

10歳代

20歳代

30歳代

40歳代

50歳代

60歳代

70歳代

80歳以上

慢性呼吸器疾患
(ぜん息含む)

5

8

3

 

1

 

1

1

1

4

24

慢性心疾患

1

 

 

 

1

 

 

 

1

1

4

慢性腎疾患

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1

1

慢性肝疾患

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神経疾患
神経筋疾患

 

3

 

 

 

 

 

 

1

2

6

血液疾患

 

 

 

 

1

 

 

1

 

 

2

糖尿病

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

免疫抑制状態

 

 

 

 

1

 

 

 

 

1

2

その他

1

 

 

 

 

1

1

 

1

 

4

基礎疾患を有する
患者数

5

11

3

 

3

1

2

2

4

7

38


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